およ》しかい」と母は皮肉に云い切ったまま、下を向いて、雁首《がんくび》へ雲井を詰める。娘は答えなかった。答えをすれば弱くなる。もっとも強い返事をしようと思うときは黙っているに限る。無言は黄金《おうごん》である。
五徳の下で、存分に吸いつけた母は、鼻から出る煙と共に口を開《あ》いた。
「話はいつでも出来るよ。話すのが好ければ私《わたし》が話して上げる。なに相談するがものはない。こう云う風にするつもりだからと云えば、それぎりの事だよ」
「そりゃ私だって、自分の考がきまった以上は、兄さんがいくら何と云ったって承知しやしませんけれども……」
「何にも云える人じゃないよ。相談相手に出来るくらいなら、初手《しょて》からこうしないでもほかにいくらも遣口《やりくち》はあらあね」
「でも兄さんの心持一つで、こっちが困るようになるんだから」
「そうさ。それさえなければ、話も何も要《い》りゃしないんだが。どうも表向|家《うち》の相続人だから、あの人がうんと云ってくれないと、こっちが路頭に迷うようになるばかりだからね」
「その癖、何か話すたんびに、財産はみんな御前にやるから、そのつもりでいるがいいって云うん
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