と接触し始めて、またその影響がどう働らいて、黒船着後に至って全局面の劇変を引き起したかという点にあったものと見える。それを一通り調べてもまだ足らぬ所があるので、やはり上代《じょうだい》から漕《こ》ぎ出して、順次に根気よく人文発展の流《ながれ》を下って来ないと、この突如たる勃興《ぼっこう》の真髄が納得《なっとく》出来ないという意味から、次に上代以後|足利《あしかが》氏に至るまでを第一巻として発表されたものと思われる。そうは断ってないけれども、緒論を読むとその辺の消息が多少|窺《うかが》われるような気もする。
従って緒論に現われた先生は、出来得る限りの範囲において、われらが最近五十年間の豹変《ひょうへん》に対する説明を、箇条《かじょう》がきの如くに与えておられる。その内にはちょっとわれらの思い設けぬ解釈さえある。西洋人が予期せざる日本の文明に驚ろくのは、彼らが開化という観念を誤まり伝えて、耶蘇《ヤソ》教的カルチュアーと同意義のものでなければ、開化なる語を冠《かん》すべきものでないと自信していたからであるというが如きはその一例である。西洋の開化と耶蘇教的カルチュアーと密切《みっせつ》の関係
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