独身《どくしん》でゐます」
「だつて、夫《それ》は貴方《あなた》の御勝手ぢやありませんか」
「勝手ぢやありません。貰《もら》はうと思つても、貰《もら》へないのです。それから以後、宅《うち》のものから何遍結婚を勧められたか分《わか》りません。けれども、みんな断つて仕舞ひました。今度《こんど》も亦|一人《ひとり》断《ことわ》りました。其結果僕と僕の父《ちゝ》との間《あひだ》が何《ど》うなるか分《わか》りません。然し何《ど》うなつても構はない、断《ことわ》るんです。貴方《あなた》が僕に復讐《ふくしう》してゐる間《あひだ》は断《ことわ》らなければならないんです」
「復讐」と三千代は云つた。此二字を恐るゝものゝ如くに眼《め》を働《はたら》かした。「私《わたくし》は是でも、嫁《よめ》に行《い》つてから、今日《こんにち》迄|一日《いちにち》も早く、貴方《あなた》が御結婚なされば可《い》いと思はないで暮《く》らした事はありません」と稍|改《あら》たまつた物の言《い》ひ振《ぶり》であつた。然し代助はそれに耳を貸さなかつた。
「いや僕は貴方《あなた》に何所《どこ》迄も復讐して貰《もら》ひたいのです。それが
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