《もら》はないのかと聞き出《だ》した。代助は単純に貰《もら》へないから、貰《もら》はないのだと答へた。梅子は仕舞に涙を流した。他《ひと》の尽力を出《だ》し抜《ぬ》いたと云つて恨んだ。何故《なぜ》始《はじめ》から打ち明けて話さないかと云つて責めた。かと思ふと、気の毒だと云つて同情して呉れた。けれども代助は三千代に就ては、遂に何事も語《かた》らなかつた。梅子はとう/\我《が》を折つた。代助の愈《いよ/\》帰ると云ふ間際《まぎは》になつて、
「ぢや、貴方《あなた》から直《ぢか》に御父《おとう》さんに御話《おはなし》なさるんですね。それ迄は私《わたくし》は黙《だま》つてゐた方が好《い》いでせう」と聞いた。代助は黙《だま》つてゐて貰《もら》ふ方が好《い》いか、話《はな》して貰《もら》ふ方が好《い》いか、自分にも分《わか》らなかつた。
「左様《さう》ですね」と※[#「足へん+厨」、第3水準1−92−39]躇《ちうちよ》したが、「どうせ、断《ことわ》りに来《く》るんだから」と云つて嫂《あによめ》の顔《かほ》を見《み》た。
「ぢや、若《も》し話《はな》す方が都合が好《よ》ささうだつたら話《はな》しませ
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