んだつて、小供ぢやないから、一人前《いちにんまへ》の考の御有《おあり》な事は勿論ですわ。私《わたし》なんぞの要《い》らない差出口《さしでぐち》は御迷惑でせうから、もう何にも申しますまい。然し御|父《とう》さんの身になつて御覧なさい。月々《つき/″\》の生活費は貴方《あなた》の要《い》ると云ふ丈今でも出《だ》して入《い》らつしやるんだから、つまり貴方《あなた》は書生時代よりも余計|御父《おとう》さんの厄介になつてる訳《わけ》でせう。さうして置いて、世話になる事は、元《もと》より世話になるが、年を取つて一人前《いちにんまへ》になつたから、云ふ事は元《もと》の通りには聞《き》かれないつて威張つたつて通用しないぢやありませんか」
梅子は少し激したと見えて猶も云ひ募らうとしたのを、代助が遮つた。
「だつて、女房を持てば此|上《うへ》猶御|父《とう》さんの厄介に為《な》らなくつちや為《な》らないでせう」
「宜《い》いぢやありませんか、御父《おとう》さんが、其方《そのほう》が好《い》いと仰しやるんだから」
「ぢや、御父《おとう》さんは、いくら僕の気に入らない女房でも、是非|持《も》たせる決心なんで
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