なかつた。不可解《ふかかい》の眼《め》を挙《あ》げて梅子を見た。梅子は始めて自分の本意を布衍しに掛《か》かつた。
「つまり、貴方《あなた》だつて、何時《いつ》か一度は、御奥さんを貰《もら》ふ積《つもり》なんでせう。厭《いや》だつて、仕方がないぢやありませんか。其様《さう》何時迄《いつまで》も我儘を云つた日には、御父《おとう》さんに済《す》まない丈ですわ。だからね。何《ど》うせ誰《だれ》を持《も》つて行《い》つても気《き》に入らない貴方《あなた》なんだから、つまり誰《だれ》を持《も》たしたつて同《おんな》じだらうつて云ふ訳なんです。貴方《あなた》には何《ど》んな人《ひと》を見せても駄目なんですよ。世の中《なか》に一人《ひとり》も気に入る様なものは生きてやしませんよ。だから、奥さんと云ふものは、始《はじ》めから気に入らないものと、諦《あき》らめて貰ふより外に仕方がないぢやありませんか。だから私《わたし》達が一番|好《い》いと思ふのを、黙《だま》つて貰《もら》へば、夫で何所《どこ》も彼所《かしこ》も丸く治《おさ》まつちまふから、――だから、御父《おとう》さんが、殊によると、今度《こんど》は、
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