て冷《ひや》かした積《つもり》ぢやないんです」
「本当に? 夫《そり》や一寸《ちよいと》何《なん》てえ方《かた》なの」
「名前は云《い》ひ悪《にく》いんです」
「ぢや、貴方《あなた》が其旦那に忠告をして、奥さんをもつと可愛《かわい》がるやうにして御|上《あげ》になれば可《い》いのに」
 代助は微笑した。
「姉《ねえ》さんも、さう思ひますか」
「当り前ですわ」
「もし其|夫《おつと》が僕の忠告を聞《き》かなかつたら、何《ど》うします」
「そりや、何《ど》うも仕様がないわ」
「放《ほう》つて置《お》くんですか」
「放《ほう》つて置《お》かなけりや、何《ど》うなさるの」
「ぢや、其細君は夫《おつと》に対《たい》して細君の道を守《まも》る義務があるでせうか」
「大変|理責《りぜ》めなのね。夫《そり》や旦那の不親切の度合《どあひ》にも因《よ》るでせう」
「もし、其細君に好《す》きな人があつたら何《ど》うです」
「知らないわ。馬鹿らしい。好《す》きな人がある位なら、始めつから其方《そつち》へ行《い》つたら好《い》いぢやありませんか」
 代助は黙《だま》つて考へた。しばらくしてから、姉《ねえ》さんと
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