わか》らなかつた。
「僕の様に精神的に敗残した人間は、已を得ず、あゝ云ふ消極な意見も出すが。――元来意見があつて、人《ひと》がそれに則《のつと》るのぢやない。人《ひと》があつて、其人《そのひと》に適《てき》した様な意見が出《で》て来《く》るのだから、僕《ぼく》の説は僕《ぼく》丈に通用する丈だ。決して君の身の上を、あの説で、何《ど》うしやうの斯《か》うしやうのと云ふ訳ぢやない。僕はあの時の君の意気に敬服してゐる。君《きみ》はあの時自分で云つた如く、全く活動の人だ。是非共活動して貰《もら》ひたい」
「無論大いに遣《や》る積《つもり》だ」
平岡の答《こたへ》はたゞ此一句|限《ぎり》であつた。代助は腹《はら》の中《なか》で首《くび》を傾《かたむ》けた。
「新聞で遣《や》る積《つもり》かね」
平岡は一寸《ちよつと》※[#「足へん+厨」、第3水準1−92−39]躇《ちうちよ》した。が、やがて、判然《はつきり》云ひ放《はな》つた。――
「新聞にゐるうちは、新聞で遣《や》る積《つもり》だ」
「大いに要領を得てゐる。僕だつて君の一生涯の事を聞いてゐるんぢやないから、返事はそれで沢山だ。然し新聞で君に
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