、平岡の放埒から生じた経済事状に帰した。凡てを概括した上《うへ》で、平岡は貰《もら》ふべからざる人《ひと》を貰《もら》ひ、三千代は嫁《とつ》ぐ可《べ》からざる人《ひと》に嫁《とつ》いだのだと解決した。代助は心の中《うち》で痛《いた》く自分が平岡の依頼に応じて、三千代を彼の為《ため》に周旋した事を後悔した。けれども自分が三千代の心を動《うご》かすが為《ため》に、平岡が妻《さい》から離れたとは、何《ど》うしても思ひ得なかつた。
同時に代助の三千代に対する愛情は、此夫婦の現在の関係を、必須条件として募りつゝある事もまた一方では否《いな》み切れなかつた。三千代が平岡に嫁《とつ》ぐ前《まへ》、代助と三千代の間柄《あひだがら》は、どの位の程度迄進んでゐたかは、しばらく措《お》くとしても、彼《かれ》は現在の三千代には決して無頓着でゐる訳には行かなかつた。彼は病気に冒された三千代をたゞの昔《むかし》の三千代よりは気の毒に思つた。彼は小供を亡《な》くなした三千代をたゞの昔《むかし》の三千代よりは気の毒に思つた。彼は夫《おつと》の愛を失ひつゝある三千代をたゞの昔《むかし》の三千代よりは気の毒に思つた。彼
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