《わか》たなければならないと思つたからである。

       十三の四

 代助は三千代に平岡の近来の模様を尋ねて見た。三千代は例によつて多くを語る事を好《この》まなかつた。然し平岡の妻に対する仕打《しうち》が結婚当時と変つてゐるのは明《あきら》かであつた。代助は夫婦が東京へ帰つた当時|既《すで》にそれを見抜いた。夫《それ》から以後|改《あらた》まつて両人《ふたり》の腹《はら》の中《なか》を聞いた事《こと》はないが、それが日毎に好《よ》くない方に、速度を加へて進行しつゝあるのは殆んど争ふべからざる事実と見えた。夫婦の間《あひだ》に、代助と云ふ第三者が点ぜられたがために、此|疎隔《そかく》が起つたとすれば、代助は此方面に向つて、もつと注意深く働らいたかも知れなかつた。けれども代助は自己の悟性に訴へて、さうは信ずる事が出来なかつた。彼は此結果の一部分を三千代の病気に帰した。さうして、肉体上の関係が、夫《おつと》の精神に反響を与へたものと断定した。又其一部分を子供の死亡に帰した。それから、他の一部分を平岡の遊蕩に帰した。又他の一部分を会社員としての平岡の失敗に帰した。最後に、残りの一部分を
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