ジ》を二三枚あとへ繰《く》つて見た。そこに何《ど》んな議論があつて、それが何《ど》う続《つゞ》くのか、頭《あたま》を拵《こしら》える為《ため》に一寸《ちよつと》骨を折つた。其努力は艀《はしけ》から桟橋へ移る程|楽《らく》ではなかつた。食《く》ひ違《ちが》つた断面の甲に迷付《まごつ》いてゐるものが、急に乙に移るべく余儀なくされた様であつた。代助はそれでも辛抱して、約二時間程|眼《め》を頁《ページ》の上《うへ》に曝《さら》してゐた。が仕舞にとう/\堪え切れなくなつた。彼《かれ》の読《よ》んでゐるものは、活字の集合《あつまり》として、ある意味を以て、彼《かれ》の頭《あたま》に映《えい》ずるには違《ちがひ》ないが、彼《かれ》の肉や血《ち》に廻《まは》る気色は一向見えなかつた。彼《かれ》は氷嚢を隔てゝ、氷《こほり》に食《く》ひ付《つ》いた時の様に物足らなく思つた。
彼は書物を伏《ふ》せた。さうして、こんな時に書物を読《よ》むのは無理だと考へた。同時にもう安息する事も出来なくなつたと考へた。彼《かれ》の苦痛は何時《いつ》ものアンニユイではなかつた。何《なに》も為《す》るのが慵《ものう》いと云ふの
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