確《たしか》めたのださうである。最後に、佐川家の財産に就ても話《はなし》が出《で》た。其《その》時父は、あゝ云ふのは、普通の実業家より基礎が確《しつか》りしてゐて安全だと云つた。
 令嬢の資格が略《ほゞ》定《さだ》まつた時、父《ちゝ》は代助に向つて、
「大した異存もないだらう」と尋ねた。其語調と云ひ、意味と云ひ、何《ど》うするかね位の程度ではなかつた。代助は、
「左様《さう》ですな」と矢っ張り煮《に》え切《き》らない答をした。父《ちゝ》はじつと代助を見てゐたが、段々《だん/\》皺《しわ》の多い額《ひたひ》を曇《くも》らした。兄《あに》は仕方なしに、
「まあ、もう少し善《よ》く考へて見るが可《い》い」と云つて、代助の為《ため》に余裕を付《つ》けて呉れた。

       十三の一

 四日程《よつかほど》してから、代助は又|父《ちゝ》の命令で、高木の出立《しつたつ》を新橋迄見送つた。其日《そのひ》は眠《ねむ》い所を無理に早く起《おこ》されて、寐足《ねた》らない頭《あたま》を風《かぜ》に吹《ふ》かした所為《せゐ》か、停車場に着《つ》く頃《ころ》、髪《かみ》の毛の中《なか》に風邪《かぜ》を引
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