う。もう少し判然《はんぜん》として呉《く》れ。此方《こつち》は生死《せいし》の戦《たゝかひ》だ」と云つて、寺尾は小形《こがた》の本をとん/\と椅子《いす》の角《かど》で二返|敲《たゝ》いた。
「何時《いつ》迄に」
寺尾は、書物の頁《ページ》をさら/\と繰《く》つて見せたが、断然たる調子で、
「二週間」と答へた後《あと》で、「何《ど》うでも斯《か》うでも、夫迄に片付《かたづけ》なけりや、食《く》へないんだから仕方がない」と説明した。
「偉《えら》い勢《いきほひ》だね」と代助は冷《ひや》かした。
「だから、本郷からわざ/\遣《や》つて来《き》たんだ。なに、金《かね》は借《か》りなくても好《い》い。――貸《か》せば猶|好《い》いが――夫《それ》より少し分《わか》らない所があるから、相談しやうと思《おも》つて」
「面倒だな。僕は今日《けふ》は頭《あたま》が悪《わる》くつて、そんな事は遣《や》つてゐられないよ。好《い》い加減に訳して置けば構《かま》はないぢやないか。どうせ原稿料は頁《ページ》で呉れるんだらう」
「なんぼ、僕《ぼく》だつて、さう無責任な翻訳は出来《でき》ないだらうぢやないか。誤訳
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