、兄がどんな態度に変るか、試験して見たくもある。――其所《そこ》迄|来《き》て、代助は自分ながら、あんまり性質《たち》が能くないなと心《こころ》のうちで苦笑した。
 けれども、唯|一《ひと》つ慥《たしか》な事がある。平岡は早晩借用証書を携へて、自分の判を取りにくるに違ない。
 斯う考へながら、代助は床《とこ》を出た。門野《かどの》は茶《ちや》の間《ま》で、胡坐《あぐら》をかいて新聞を読んでゐたが、髪《かみ》を濡《ぬ》らして湯殿《ゆどの》から帰《かへ》つて来《く》る代助を見るや否や、急に坐三昧《ゐざんまい》を直《なほ》して、新聞を畳んで坐《ざ》蒲団の傍《そば》へ押《お》し遣《や》りながら、
「何《ど》うも『煤烟《ばいえん》』は大変な事になりましたな」と大きな声で云つた。
「君読んでるんですか」
「えゝ、毎朝《まいあさ》読《よ》んでます」
「面白《おもしろ》いですか」
「面白《おもしろ》い様ですな。どうも」
「何《ど》んな所が」
「何《ど》んな所がつて。さう改《あら》たまつて聞《き》かれちや困りますが。何ぢやありませんか、一体に、斯う、現代的の不安が出《で》てゐる様ぢやありませんか」
「さ
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