れなくなって仮病《けびょう》を遣《つか》いました。奥さんからもお嬢さんからも、K自身からも、起きろという催促を受けた私は、生返事《なまへんじ》をしただけで、十時|頃《ごろ》まで蒲団《ふとん》を被《かぶ》って寝ていました。私はKもお嬢さんもいなくなって、家の内《なか》がひっそり静まった頃を見計《みはか》らって寝床を出ました。私の顔を見た奥さんは、すぐどこが悪いかと尋ねました。食物《たべもの》は枕元《まくらもと》へ運んでやるから、もっと寝ていたらよかろうと忠告してもくれました。身体《からだ》に異状のない私は、とても寝る気にはなれません。顔を洗っていつもの通り茶の間で飯《めし》を食いました。その時奥さんは長火鉢《ながひばち》の向側《むこうがわ》から給仕をしてくれたのです。私は朝飯《あさめし》とも午飯《ひるめし》とも片付かない茶椀《ちゃわん》を手に持ったまま、どんな風に問題を切り出したものだろうかと、そればかりに屈托《くったく》していたから、外観からは実際気分の好《よ》くない病人らしく見えただろうと思います。
 私は飯を終《しま》って烟草《タバコ》を吹かし出しました。私が立たないので奥さんも火
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