も同じ事でした。私は食卓に坐りながら、言葉を惜しがる人のように、素気《そっけ》ない挨拶《あいさつ》ばかりしていました。Kは私よりもなお寡言《かげん》でした。たまに親子連《おやこづれ》で外出した女二人の気分が、また平生《へいぜい》よりは勝《すぐ》れて晴れやかだったので、我々の態度はなおの事眼に付きます。奥さんは私にどうかしたのかと聞きました。私は少し心持が悪いと答えました。実際私は心持が悪かったのです。すると今度はお嬢さんがKに同じ問いを掛けました。Kは私のように心持が悪いとは答えません。ただ口が利《き》きたくないからだといいました。お嬢さんはなぜ口が利きたくないのかと追窮《ついきゅう》しました。私はその時ふと重たい瞼《まぶた》を上げてKの顔を見ました。私にはKが何と答えるだろうかという好奇心があったのです。Kの唇は例のように少し顫《ふる》えていました。それが知らない人から見ると、まるで返事に迷っているとしか思われないのです。お嬢さんは笑いながらまた何かむずかしい事を考えているのだろうといいました。Kの顔は心持薄赤くなりました。
 その晩私はいつもより早く床《とこ》へ入りました。私が食事
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