杯呑みました。それから玄関へ出ました。私はわざとKの室を回避するようにして、こんな風に自分を往来の真中に見出《みいだ》したのです。私には無論どこへ行くという的《あて》もありません。ただ凝《じっ》としていられないだけでした。それで方角も何も構わずに、正月の町を、むやみに歩き廻《まわ》ったのです。私の頭はいくら歩いてもKの事でいっぱいになっていました。私もKを振《ふる》い落す気で歩き廻る訳ではなかったのです。むしろ自分から進んで彼の姿を咀嚼《そしゃく》しながらうろついていたのです。
私には第一に彼が解《かい》しがたい男のように見えました。どうしてあんな事を突然私に打ち明けたのか、またどうして打ち明けなければいられないほどに、彼の恋が募《つの》って来たのか、そうして平生の彼はどこに吹き飛ばされてしまったのか、すべて私には解しにくい問題でした。私は彼の強い事を知っていました。また彼の真面目《まじめ》な事を知っていました。私はこれから私の取るべき態度を決する前に、彼について聞かなければならない多くをもっていると信じました。同時にこれからさき彼を相手にするのが変に気味が悪かったのです。私は夢中に
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