るのだから、変なものでした。
三人は日本橋《にほんばし》へ行って買いたいものを買いました。買う間にも色々気が変るので、思ったより暇《ひま》がかかりました。奥さんはわざわざ私の名を呼んでどうだろうと相談をするのです。時々|反物《たんもの》をお嬢さんの肩から胸へ竪《たて》に宛《あ》てておいて、私に二、三歩|遠退《とおの》いて見てくれろというのです。私はそのたびごとに、それは駄目《だめ》だとか、それはよく似合うとか、とにかく一人前の口を聞きました。
こんな事で時間が掛《かか》って帰りは夕飯《ゆうめし》の時刻になりました。奥さんは私に対するお礼に何かご馳走《ちそう》するといって、木原店《きはらだな》という寄席《よせ》のある狭い横丁《よこちょう》へ私を連れ込みました。横丁も狭いが、飯を食わせる家《うち》も狭いものでした。この辺《へん》の地理を一向《いっこう》心得ない私は、奥さんの知識に驚いたくらいです。
我々は夜《よ》に入《い》って家《うち》へ帰りました。その翌日《あくるひ》は日曜でしたから、私は終日|室《へや》の中《うち》に閉じ籠《こも》っていました。月曜になって、学校へ出ると、私は朝っ
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