『吾輩は猫である』上篇自序
夏目漱石
−−
【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)固《もと》より
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)価値|如何《いかん》
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「插」でつくりの縦棒が下に突き抜けている、第4水準2−13−28]
−−
「吾輩は猫である」は雑誌ホトトギスに連載した続き物である。固《もと》より纏《まとま》った話の筋を読ませる普通の小説ではないから、どこで切って一冊としても興味の上に於《おい》て左《さ》したる影響のあろう筈《はず》がない。然《しか》し自分の考ではもう少し書いた上でと思って居たが、書肆《しょし》が頻《しき》りに催促をするのと、多忙で意の如《ごと》く稿を続《つ》ぐ余暇がないので、差し当り是丈《これだけ》を出版する事にした。
自分が既に雑誌へ出したものを再び単行本の体裁として公にする以上は、之《これ》を公にする丈《だけ》の価値があると云う意味に解釈されるかも知れぬ。「吾輩は猫である」が果
次へ
全3ページ中1ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
夏目 漱石 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング