二重傍線] 晴、晴、晴。
――宿酔気味――散歩――山口へ――Sさん、Wさん、Fさん、――酔境空寂、――最終バスで帰庵、――風呂敷包も、下駄も、何もかもなくなつてしまつた、――あゝさつぱりした、よかつた!
七月廿三日[#「七月廿三日」に二重傍線] 晴。
空々寂々。――
花屋が来て、縞萱と桔梗とを所望して、十五銭くれた。
暮羊居で米一升分けて貰ふ。
初めて熊蝉が鳴く。
夾竹桃の花が美しい、まさに万緑叢中紅一点。
飯のうまさ。
暮羊君来庵、同道して、四時の汽車で防府へ行く、令兄のところで御馳走になる、悪筆を揮ふ、十時の汽車で帰る、駅前でIさんに逢ふ、三人で飲む、近来にない愉快な一夜だつた。
帰庵したのは一時頃だつたらう、蚊帳も吊らないで寝てしまつた!
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・花の良心
花屋老人の事
・停車場待合室
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七月廿四日[#「七月廿四日」に二重傍線] 晴、風が涼しかつた。
私は二日酔をしない、いうぜんとして落ちついてゐる。
涼しい昼寝、あゝ勿体ない、赦して下さい、すみません。
昼も夜も暮羊君来庵、ブラジルコーヒーを味ふ。
今夜は意外な訪問者が
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