言をいふばかりである!
雑草を活ける、甘草はよろしいな、いぬころ草は可愛いな。
暮れてから、暮羊君来訪、暫時俳談。
夜は空腹も忘れて、近作の推敲に一心だつた。

 七月五日[#「七月五日」に二重傍線] 雨。

寝床の中へまで雨が漏つてきたので、びつくりして、詮方なしに起きたが、まだ夜が明けない、裏の棚田で水鶏がせつなげに啼いてゐた。……
落ちついて紫蘇茶一杯すゝつて読書。
うれしいたよりが二つ、一つはKから、そして一つは樹明君から。――
山口へ行く、三月ぶりだ、折よく来てくれたバスに乗つて、まづ一杯、また一杯、また/\一杯。
買へるだけ買ふ、――といつても僅かだが、――持ちきれないほどの品物を持つて、雨の中を戻つた、大出来、大出来!
また街へ、また買物。
ゆつくり晩酌をやつてゐるところへ、暮羊君来庵、いさゝかの酒を酌みかはしながら俳談する。
それからまた/\街へ、払へるだけ払ふ、そして飲めるだけ飲む。……
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○象徴詩[#「象徴詩」に傍点]としての俳句
    俳句の象徴性
○俳句は気合[#「気合」に傍点]のやうなものだ、禅坊主の喝[#「禅坊主の喝」に傍点]のやうな
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