。
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・珍問答
お月さんですよ!
小鳥でございます。
・すゞしく鼻毛をぬいてもらふ。
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六月卅日[#「六月卅日」に二重傍線] 曇。
すこし落ちつく、身辺を整理する。
青山青白雲白[#「青山青白雲白」に傍点]、――私の境地はこゝにある。
夏蝉が鳴きだした。
七月一日[#「七月一日」に二重傍線] 曇――晴――曇。
新一歩[#「新一歩」に傍点]。――
早起して、清掃、洗濯。
おちついて読書。
梅雨模様だけれど私は晴れつゝある。
酒に執するなかれ[#「酒に執するなかれ」に傍点]、たゞ酒に執しない様にと私は私に願求、私には名利の慾望はあまりない、ないといつてもよいぐらゐだ、酒が飲みたい、――これが私の慾であり癌である、私はほんたうに酒を味ふやうになりたい、ならなければならない。――
句には執してもよい、それが私の生きぬく道[#「私の生きぬく道」に傍点]でもある、私は酒に於て[#「私は酒に於て」に傍点]、そして句に於て私の宿業を感じる[#「そして句に於て私の宿業を感じる」に傍点]、感ぜざるを得ないのである[#「感ぜざるを得ないのであ
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