は多くないらしいが、それでも二千や三千はあるらしい。
いたるところ温泉、いたるところをなごや、湯はタダ、女も安いさうな。
遊園別府[#「遊園別府」に傍点]、貧乏人や偏屈者の来る場所ではない。

別府所見、――
小秦誰[#「小秦誰」に傍点]、朝見川朝日橋のほとり、竹田が妓にかく書いて与へたといふが、夜はともかく、昼はゴモクアクタでワヤだ!

別府竹枝[#「別府竹枝」に傍点]、流川通、名残橋阯[#「阯」に「マヽ」の注記]、カフヱーやおでんやや料亭や置屋があつまつてゐる。
高崎山のおもしろさ、鶴見岳のよろしさ。

旅の人々と彼等の財布を狙ふ街の人々と、温泉《イデユ》の匂ひ、脂粉の香り。
土産物を売る店と女を売る店と。

由布岳――旧名、湯ノ嶽――通称、豊後富士は好きな山である、総じて豊後の山岳は好きだ。

なるたけ本道[#「本道」に傍点]を歩くことだ、遠いけれど間違がない、近道、それは多く旧道、その道は歩くにはよろしいが、よく見定めて、念に念を入れて歩くことだ。

無尽寥[#「無尽寥」に傍点]。――

作ることが生きることである[#「作ることが生きることである」に傍点]。

片手で耕やす人!
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