なごと話がつきない
・道しるべが読めないかげろふもゆる
・たたへて春の水としあふれる
・牛をみちづれにうららかな峠一里
・放たれて馬は食べる草のなんぼでも
・紫雲英や菜の花やふるさとをなくしてしまつた
・春風、石をくだいてこなごなにする
・うらうらこどもとともにグリコがうまい
・今日の日をおさめて山のくつきりと高く
・朝月落ちかゝる山の芽ぶいて来た
・噴水を見てゐる顔ののどかにも
・春のおとづれ大[#「大」に「マヽ」の注記]鼓たたいて何を売る
・ひとり山越えてまた山
[#ここで字下げ終わり]
三月十八日 晴、霜、彼岸入、別府。
早々出立、ぶら/\歩いて南へ、南へ、うらゝかすぎるうらゝかさだ。
北馬城を過ぎ立石で辨当行李を開く、茶店の若いおかみさんの自慢話も興が深かつた。
巡礼の親子三人連れ、子供がいちばんうらゝかだ。
亀川まで汽車、賃四十七銭は惜しかつたが、――亀川にはほどよい宿が見つからないので、電車で別府へ、F屋に地下足袋を脱ぐ、さつそく一浴して一杯! おそくまで散歩して熟睡。
別府は山もよろしく海もよろしく、湯はもちろんよろしく、女もわるくないらしい。
時局のために遊覧客
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