る私のナンセンスである。
[#ここから2字下げ]
・早春のくだもの店の日かげうつる
波止場所見として
・風の中のこぼれ米拾ひあつめては母子《オヤコ》
・まんぢゆうたべたべ出船の船を見てゐる、寒い
・朝の雨の石をぬらすより霽れた
若松へわたし場
・ちよいと渡してもらふ早春のさざなみ
多々桜君を病院に見舞うて、病室即事
・投げ※[#「插」でつくりの縦棒が下に突き抜けている、第4水準2−13−28]しは桜のつぼみのとくひらけ
・木の実かさなりあうてゆふべのしづけさ
製鉄所遠望
・夜どほし燃やす火の燃えてさかる音
途上
・かなしい旅だ何といふバスのゆれざまだ
[#ここで字下げ終わり]
三月十四日 晴、糸田。
安宿の気安さ。
めしやでめしを食べ、酒屋で酒を飲み、餅屋で餅を味はつた(草餅の魅力である)。
若松の帆檣林立風景も此頃は以前ほどでないやうだ。
歩くつもりで歩きだしたが、途中でへたばつて、バスで折尾へ、折尾から汽車で直方へ。
S酒場に折から帰郷中の惣参居士を訪ねる、生一本の御馳走になる、お土産としても頂戴する、多謝々々。
街はづれまで送られて、金田までバス、そこか
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