れど、世間人としてはさしたことではない)。
[#ここから1字下げ]
人間臭[#「人間臭」に白三角傍点]
[#ここで字下げ終わり]
四月十五日[#「四月十五日」に二重傍線] 晴曇不明。――
昨日の延長だ、まだピリオドがうてない、飲みあるく、――夜やうやく帰庵。
四月十六日[#「四月十六日」に二重傍線] 晴――曇。
庵中独臥、絶食[#「絶食」に傍点]、読書。
また山口の聯隊から出征するので、歓呼の声が渦巻く、その声が身心に沁み入る。……
四月十七日[#「四月十七日」に二重傍線] 曇、微雨。
謹慎、落ちついて雨を聴く。
四月十八日[#「四月十八日」に二重傍線] 曇。
午後は晴れたので山口へ行く、本を米に代へて戻る。
四日ぶりに御飯を食べることが出来た!
ほどよく飲んで食べて、つゝましく考へしづかに読み、一生懸命に作る、――それが何よりの楽しみであらう。
四月十九日[#「四月十九日」に二重傍線] 晴――曇。
春蝉が鳴きだした、夏ちかい温かさだ。
流し元の草の中に、捨芹が青々と花をつけてゐる、生きるものゝ生きる力のめざましさ、省みて恥ぢ入つた。
蕗を煮て食べる、うま
前へ
次へ
全34ページ中27ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
種田 山頭火 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング