水の陣[#「背水の陣」に傍点]をしくのだ、捨身の構へ[#「捨身の構へ」に傍点]だ、行乞山頭火でないとほんたうの句[#「ほんたうの句」に傍点]が出来ない、俳人山頭火になりきれない。
春寒うつくしい月夜であつた。
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其中庵解消の記
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行方も知らぬ旅の路かな
濁れるもの、滞れるもの
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四月十三日[#「四月十三日」に二重傍線] 晴。
なか/\寒いことである。
旅日記整理。
戦争は必然の事象とは考へるけれど、何といつても戦争は嫌だと思ふ。
めづらしく畑仕事。
四月十四日[#「四月十四日」に二重傍線] 曇。
うつくしい朝焼、あまり生甲斐もない生活。
Kからうれしい返事が来た、この親にしてこの子があるとは[#「この親にしてこの子があるとは」に傍点]!
街へ出かける、NにWにKに払ふ。
何日ぶりかで理髪入浴、それからゆつくり飲みだしたが、一本が二本になり二本が三本になつて、四本五本六本、そしてたうとう脱線してしまつた、今年最初の脱線だ[#「今年最初の脱線だ」に傍点]、すまなかつた、すまなかつた、慚愧々々(私としては脱線だけ
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