てそのまゝ寝てしまつたことは仕方がないが、酔中彷徨してY店へ飛び込んだことはよくなかつた、いや悪かつた、悪かつた、恥づかしい、恥づかしい。
夜は暮羊居に招待されて、ニコ/\御馳走になつた。
四月五日[#「四月五日」に二重傍線] 六日[#「六日」に二重傍線] 七日[#「七日」に二重傍線] 八日[#「八日」に二重傍線]
労れて、ごろ/\ぐう/\眠りつゞけたことである、いはゞ旅づかれ[#「旅づかれ」に傍点]といふものであらうか、私の場合では、人づかれ酒づかれ[#「人づかれ酒づかれ」に傍点]といふべきであらう。
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自分の意志で、生れ出ることは出来ないけれど、死んでしまうことは自分の自由だ、こゝに人間の悲喜劇が展開される。
[#ここで字下げ終わり]
四月九日[#「四月九日」に二重傍線] 晴。
絶食――不眠――憂欝、そして。――
あはたゞしい春だ、もう桜が散り柿が芽ぶく。
四月十日[#「四月十日」に二重傍線] 曇。
或る店で白米少々借ることが出来た、感謝合掌。
飯! 飯!
H君と某君と同道して来訪、対談しばらく。
午後、めづらしくも敬君来庵、つゞいて樹明君も
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