・戦ひはこれからの大地芽吹きだした
・野中の一本いちはやく芽吹いてゐる
梅はさかりの、軍需工業[#「業」に「マヽ」の注記]のけむり
・たちまち曇り、すぐ晴れて海峡の鴎
門司駅待合室所見
・仲よく読んでゐるよこからいやな顔がのぞいて
[#ここで字下げ終わり]
――綿織物よりも絹織物を! これも非常時の国産奨励。
[#ここから2字下げ]
改作追加一句、峠にて或る日のルンペンと共に
・草の上におべんたう分けて食べて右左
[#ここで字下げ終わり]
三月十三日 曇、時雨、若松。
朝早く起きてはならないので困つた(夜ふかしの朝寝があたりまへの社会だから)、こつそり抜けだして散歩、時局柄で朝湯もないので、コツプ酒でも呷る外ない、……不用人間の不用時間を持て余した。……
身辺整理、アメリカ行の小包をこしらへ手紙を書く。
八幡の印象、――中心は何といつても製鉄所の煙突、そして飲食店、職工、何もかもごた/\してゐる。
新聞記事で動かされたもの二つ、――モルガンお雪の帰国と岡田博の母を嘆く言葉。
午後、鏡子君に連れられて、徳[#「徳」に白丸傍点]訪問、よい湯を頂戴した、そして酒と金との功徳
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