――私は自覚する、私の句境[#「句境」に傍点]――といふよりも私の人間性[#「人間性」に傍点]――は飛躍した、私は飛躍し飛躍し飛躍する、しかし私は私自身を飛躍しない[#「私は私自身を飛躍しない」に傍点]、それがよろしい、それで結構だ、私は飽くまで私だ、山頭火はいつでも山頭火だ!
人間至るところ、山あり水あり、飯あり、酒あり、――さういふ人生でなければならない。
ゆつたりとしてしづかなよろこびが湧いて溢れた。
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戦争――悲惨なる事実――存在の必然[#「必然」に傍点]――生物の悲劇。――
よくてもわるくてもほんたう[#「よくてもわるくてもほんたう」に傍点]。
先づ何よりもうそのない生活[#「うそのない生活」に傍点]、それから、それから。
物そのものを尊ぶ[#「物そのものを尊ぶ」に傍点]、物そのものゝために惜しみ[#「物そのものゝために惜しみ」に傍点]、そして愛する[#「そして愛する」に傍点]。
甘さと旨さとは違ふ[#「甘さと旨さとは違ふ」に白三角傍点]。
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甘さを表現したゞけでは(旨さが籠つてゐないならば)それはよき芸術[#「よき芸術」に傍点
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