ぶ心[#「物の徳を尊ぶ心」に傍点]、それが芸術であり道徳であり、宗教でもある。
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 二月十七日[#「二月十七日」に二重傍線] 晴、後、曇。

春寒、身心平静。
風、風、風はやりきれない。
此頃は死ぬる人が多い、用意はよいか!
夕方、街へ出かける、W屋N屋の好意で、たらふく飲んで食べて、そして寝た、近頃にない痛飲、陶酔、熟睡であつた、分別も苦労も何もかもなくなつてしまつた! めでたしめでたし、大いにめでたし。

 二月十八日[#「二月十八日」に二重傍線] 晴、曇、霙。

寒さが逆戻りした。
九日ぶりに御飯を食べる、しみ/″\しみ/″\味つた。
風が吹く。
蕗の薹を二つ見つけた。
自戒自粛、つゝましくおちついて読書。
やすらかに睡つた。
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感動[#「感動」に傍点]こそ詩の母胎である。
沈黙の言葉[#「沈黙の言葉」に傍点]。
自然の心、人間の心、物のあはれ[#「物のあはれ」に傍点]。
自己に徹して自然に徹するを得。
自然に徹するは自己に徹するなり。
自然をうたふは自己をうたふなり。
民族詩[#「民族詩」に傍点]、日本民族詩としての俳句。
ユーモ
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