てくたぶれて帰つたのは十二時近かつたらう。
二月五日[#「二月五日」に二重傍線] 曇、小雨。
昨夜の飲みすぎ食べすぎで、胃のぐあいがよくない、何となく身心の重苦しさを覚える。
身辺整理。――
呂竹さん来庵、香奠返しとして砂糖を頂戴する、落ちついてしんみりと亡き妻を語り句を語る呂竹さんはいかにも呂竹さんらしい、私はいつものやうに、山頭火らしく、私自身を語り、そして句を語つた。
樹明君から借りた井月全集[#「井月全集」に傍点]を読む。
今日も有耶無耶で暮れてしまつた[#「今日も有耶無耶で暮れてしまつた」に傍点]、それはちようど私の一生が有耶無耶で過ぎるやうに[#「それはちようど私の一生が有耶無耶で過ぎるやうに」に傍点]。――
[#ここから1字下げ]
物を広く探るよりも[#「物を広く探るよりも」に傍点]、心を深く究める[#「心を深く究める」に傍点]。
単純にして深遠[#「単純にして深遠」に傍点]。
東洋精神、日本精神、俳句精神。
直観。
自我帰投。
[#ここで字下げ終わり]
二月六日[#「二月六日」に二重傍線] 晴――曇。
めつきり春めいて来た。――
句稿二篇、やうやく書きあげ
前へ
次へ
全40ページ中21ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
種田 山頭火 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング