ながら!)。
餅もある、餅のうまさが酒のうまさを凌がうとする。
終日、独坐無言[#「独坐無言」に傍点]。――
一月二日[#「一月二日」に二重傍線] 晴れたり曇つたり、しぐれたり。
をり/\しぐれてしめやかな一人正月[#「一人正月」に傍点]であつた。
今日は新聞のない日[#「新聞のない日」に傍点](関西の新聞聯合申合で休刊)、そのことだけでもさびしい/\。
――求めず(たとへば平安を)、貪らず(たとへばアルコールを)、あるがまゝに[#「あるがまゝに」に傍点]、なるがまゝに生きぬかう[#「なるがまゝに生きぬかう」に傍点]。
今日も独坐無言だつた!
一月三日[#「一月三日」に二重傍線] 曇。
寒気りんれつ、小雪ちらほら。
炭火のうれしさ、餅のおいしさ(今朝は食べる物がないので、仏壇のお供餅を頂戴した)。
鶲がさびしさうに啼いて遊ぶ、さびしいお正月だ。
午後、米買ひに街へ出かける、寒いことだけが正月風景らしい、今年最初のコツプ酒一杯!
今日も独坐無言のつもりだつたが、夕方になると、たうとうやりきれなくなつて、湯田温泉へ、――S屋に泊る。
途上で、美しい兄妹風景を見た、そして宿屋では
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