聞が来た。

 八月廿三日[#「八月廿三日」に二重傍線] 晴。

身心が暑苦しい。
句集到着、澄太君の友情そのものにぶつつかつたやうに、ありがたくうれしかつた。
午後、樹明君と暮羊君と来庵、酒を買うて祝して下さる。
句集を銭に代へて、久しぶりに山口へ行く、酔うて泊る。

 八月廿四日[#「八月廿四日」に二重傍線] 晴。

午前帰庵。
アルコールのおかげで動けない。……

 八月廿五日[#「八月廿五日」に二重傍線] 晴。

Kから来信、ありがたう。
句集刊行自祝の意味で、そしてまた、小郡に於ける最後の遊楽のつもりで、私としては贅沢に飲む、酔ふ、たうとう酔ひつぶれてしまつた、ぼうぼう、ばくばく、自我もなく天地もなし、一切空。

 八月廿六日[#「八月廿六日」に二重傍線] 晴。

急に思ひ立つて(旅費が出来たので)、九時の列車で九州へ下る。――
十二時、門司の銀行に岔水君を訪ねる、いつもかはらぬ岔水君、なつかしい岔水君だ、黎々火君にも逢うて食事を共にする、三時、警察署に青城子君を訪ねる、不在、堤さんも不在、さらに井上さんを訪ねて御馳走になる、鏡子居訪問、こゝでも御馳走になる、井上さんも鏡子君
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