藤原通光
・鈴鹿山うきことよそにふりすてていかになりゆくわが身なるらむ 西行法師
風に靡く富士のけぶりの空に消えてゆくへも知らぬ我が思ひかな 〃
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□苦しい節季であり、寂しい正月であつたが、今年はトンビを着ることが出来た、Iさんの温情を、Kが活かしてくれたのである、ありがたいことである。
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柿の葉[#「柿の葉」に傍点]の広告文として、層雲[#「層雲」に傍点]に発表した感想――
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句作三十年、俳句はほんたうにむつかしいと思ふ。
俳句は自然のままがよい、自己をいつはらないことである、よくてもわるくても、自分をあるじとする句[#「自分をあるじとする句」に傍点]でなければならない。
私はこの境地におちついて、かへりみてやましくない句[#「かへりみてやましくない句」に傍点]を作りたい。
私の句集は、私にあつては、私自身で積みかさねる墓標に外ならない。
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子に与へる句集
父らしくない父が子らしい子に与へる句集
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