掃されるだらう!
雪がふるふる、支那遠征の将士を思ふ、合掌。
郵便屋さん、御苦労、新聞屋さん、御苦労。
あらゆるものに対して感激と感謝を覚える日である[#「あらゆるものに対して感激と感謝を覚える日である」に傍点]。
ポストまで、すぐ戻つた、善哉々々。
雪を眺めつゝ、行乞時代を追想しないではゐられなかつた。
寒い寒い、冬もいよ/\本調子になつた。
初炬燵[#「初炬燵」に傍点]、かうしてぬく/\と寝てゐられることは何といふ幸福であらう、有難いよりも勿躰ない。
寝苦しかつた、なか/\睡れなかつた(空腹の故でもある!)、長い夜が一層長かつた、私は熱心に軍歌の語句を考へつゞけた。……
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金がありがたいのではない[#「金がありがたいのではない」に傍点]、金をありがたがるのではない[#「金をありがたがるのではない」に傍点]、物が[#「物が」に傍点]、物そのものがありがたいのだ[#「物そのものがありがたいのだ」に傍点]、物を造つた者をありがたがるのだ[#「物を造つた者をありがたがるのだ」に傍点]。
[#ここで字下げ終わり]
十二月六日[#「十二月六日」に二重傍線] 曇。
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