、早く元気になりたまへ、そしていつしよに人生を楽しみませう[#「いつしよに人生を楽しみませう」に傍点]。
今日此頃の私は転身一路の安静[#「転身一路の安静」に傍点]である、人間は、ことに私のやうなものは、落ちるところまで落ちないと落ちつけないらしい。
自分をごまかすな[#「自分をごまかすな」に傍点]、どんな場合でも。
快食は出来る、快眠が出来ない、修行が足らないのだ。
午後は散歩する、M屋に寄つて一杯また一杯(一週間ぶりの酒だけれど、あまりうまくなかつた)、それからついでにK店に寄つてなでしこ[#「なでしこ」に傍点]を借りて帰つた。
酒も煙草もなか/\やめられないが、どうやら酒が水になりさう[#「酒が水になりさう」に傍点]である。
米[#「米」に傍点]と味噌[#「味噌」に傍点]と炭[#「炭」に傍点]と石油[#「石油」に傍点]と、そして本[#「本」に傍点]と、そして酒[#「酒」に傍点]と煙草[#「煙草」に傍点]と、そして。――
新古今を読みつゞけた、その技巧には感服する、しかし私はさういふ歌を作らうとは考へない、やつぱり万葉がよい、そこには掬めども尽きないものがある。
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