に「マヽ」の注記]中行事の一つである。
郵便局へ出かける、とてもうらゝかな日である、久しぶりに――四十余日ぶりに理髪、そして久しぶりに――十余日ぶりに入浴、身も心も軽くなつた、――二十八銭の保健的享楽[#「二十八銭の保健的享楽」に傍点]といへばいへるだらう!
途中で見つけた鮮人屑屋さんを連れて戻つて、古新聞と空瓶とを売る、金四十銭、これだけでもこの場合大いに助かる。
石蕗の花がぼつ/\咲きだした、野性味がある、下品なやうでおつとりしてゐる、私の好きな花の一つだ。
コスモスはやゝすがれ気味になつてゐる、優美そのものともいふべき花であるが、どういふものか、私はあまり好きでない。
松茸は今が出盛り、百目が二十銭乃至三十銭、今年は稲作が上出来なので、それと反対に不出来だといふ。
菜ツ葉を買うて来て、さつそく煮たり漬けたりする、うまいうまい!
今夜もまた一睡も出来なかつた、むろん近来昼寝なんかしやしない、不眠は情ないが、それに堪へる健康は有難い、私のは[#「のは」に「マヽ」の注記]不死身[#「不死身」に傍点]なのだらうか。……
十月十五日[#「十月十五日」に二重傍線] 晴――曇――雨。
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