それほど省察を忘れてはゐない)。
[#ここで字下げ終わり]

 七月十二日[#「七月十二日」に二重傍線] 雨、そして晴。

降つた降つた、漏つた漏つた。
今日も塩だけで。――
鬼百合を活ける。
午後は晴れた。
I店で米を借りる、M店で一杯。
とかく気持が虚無的になる[#「とかく気持が虚無的になる」に傍点]、虚無に徹するより外はあるまい[#「虚無に徹するより外はあるまい」に傍点]。
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┌自然    ┌人間
└人生    └虫
[#ここから1字下げ]
  ┌象徴的把握┐
印象│     │生活感情
  └写実的表現┘
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 七月十三日[#「七月十三日」に二重傍線] 晴――曇。

朝の光――蛙の合唱、蝉の歌、きり/″\すのうた。
盆が来た、とてもさびしい盆である。
衆生の恩[#「衆生の恩」に傍点]を思ふ、それを忘れさへしなければ堕落し切ることはない。
裏山逍遙。
ほどよい枯竹が見つかつたので火吹竹をこしらへる、ずゐぶん現代ばなれの所作だ。
夜は芭蕉再鑑賞。
寝苦しかつた、いつまでも睡れなかつた。
飯と塩[#「飯と塩」に傍点]、それだけで今日も暮ら
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