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何しろ一時過ぎて帰つて来て、それから水を汲むやら米を磨ぐやら、……とやかくするうちに東の空が白みだした、……そして寝床にはいつた。
今朝、考へて、やつぱり昨夜は飲みすぎだつたと思ふ、今までのやうにダラシなくはなかつたけれど、浪費は浪費として反省すべきものがあると思ふ、すまなかつた、/\。
落ちついて読書。

 六月廿日[#「六月廿日」に二重傍線] 晴。

ちつとも降らない梅雨季。
Zさんがやつて来て、窓の筍――若竹になりつゝあつたのを切り採つた、私の朝夕の楽しみ[#「私の朝夕の楽しみ」に傍点]を奪はれて、私は憤慨した、Zさん、自然人生に対してデリカシーを持つてゐない人間は軽蔑すべきかな。
門外不出、終日無言。

 六月廿一日[#「六月廿一日」に二重傍線] 晴。

いよ/\降らない。
ポストへ、そしてまた湯屋へ。
途中、Oさんの豚小屋を見物した、彼等は食べて寝て、そして子を生んで、最後は屠られるのである、彼等がガツ/\食べてゐる有様や、数多くの仔にせがまれてゐる有様を見てゐると、何となくアンタンたるものを感じる、人間だつて、けつきよくは、おんなじ宿命を負はされてゐる!
のそり/\と
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