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飲みすぎること[#「飲みすぎること」に傍点]は自制しえないこともないが、さて食べすぎること[#「食べすぎること」に傍点]は自然に任す外ない。
私は日本人であることを喜ぶ、現代に生れたことを喜ぶ、俳句を解することを喜ぶ。
老醜たへがたいものがある!
二郎! お前は此一筋を持たない無能無才だつた、つながるものゝないお前は自殺するより外なかつたのだ! ああ。
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 六月十日[#「六月十日」に二重傍線] 晴。

時の記念日。
早起、掃除も御飯も日記書入も何もかもすんでから、六時のサイレンが鳴つた。
なか/\寒い、ドテラをかさねる。
自然にぢかに触れること[#「自然にぢかに触れること」に傍点]、――作者にとつては、その事が何よりも大切である。
裏藪で今年最初の筍を見つけた。
ほんたうに日が長い、終日無言[#「終日無言」に傍点]、読んで楽しむ。
啄木鳥が来た、お前も寂しい鳥だ。
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   今日の買物
一金五銭    菜葉一把
一金三十四銭  ハガキと切手
一金十六銭   醤油四合
一金三銭    酢一合
一金十銭    酒一杯
一金九銭
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