空罎、古雑誌、襤褸を売る、五十銭!
さつそく街へ、K店で少々借りて湯田へ、例のS屋に泊る、一宿二飯で四十六銭。
湯はよいなあと嘆息の欠伸[#「嘆息の欠伸」に傍点]を洩らしつつ。
樹明君が不在中に来てくれたらしい、こんな置文句があつた。――
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また散歩(これは私)
ケツコウ/\ ハルダモノ
午後四時 樹来
アゲ二切タベタ
庵のニホヒガシタ
[#ここで字下げ終わり]

 四月廿八日[#「四月廿八日」に二重傍線] 曇。

朝湯朝酒(朝々はないが!)。
八時帰庵、野蕗君を待つ。
昼御飯を食べてから散歩がてら、駅まで出迎へたが、失望々々。
笹鳴、ずゐぶん下手糞な鶯だ、でも日にましうまくなる、勉強々々、私の句作もそのやうに。

 四月廿九日[#「四月廿九日」に二重傍線] 晴。

日本晴、天長節、万歳万々歳。
春寒、なか/\寒い。
節度正しい生活[#「節度正しい生活」に傍点]、平凡にして真実[#「平凡にして真実」に傍点]。
樹明君から来信、一献傾けたいから用意して置いてくれとの事、さつそく在中の五十銭銀貨二枚を持つて街へ出かける、酒、魚、御馳走を拵らへる、三時頃から六時頃ま
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