らない、といふよりも、昨夜からの酒が身内に滞つて欝結してゐる、また街へ出かけて飲み歩く、幸か不幸かT君に逢ふ、いつしよに飲む、とうたう酔ひつぶれてしまつた、それでも戻ることは戻つた、いつ、どうして戻つたかは覚えないが!
近来めづらしいヘベレケぶりであつた。
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綜合単純化[#「綜合単純化」に白三角傍点]
虚心[#「虚心」に白三角傍点]
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 七月十七日[#「七月十七日」に二重傍線] 曇。

昨日の今日[#「昨日の今日」に傍点]である、終日独坐無言行。
豚小屋の豚のいやしさ、切手を飲みあるくだらしなさ。
初茄子(私には)二つ三銭、あまりうまくなかつた。
熟睡はうれしかつた。

 七月十八日[#「七月十八日」に二重傍線] 曇。

草庵無事。
寒山詩鑑賞、多少の反感をそゝられる、それは私の偏見だらうか。

 七月十九日[#「七月十九日」に二重傍線] 晴。

朝風のすが/\しさよ。
花月草紙を読む、常識読本とでもいはうか。
物事すべてつゝましく生きること[#「物事すべてつゝましく生きること」に傍点]。
熊蝉が、むかうの方で、ちよいと鳴いた、今夏最初の
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