飛び越した、空も地もひろ/″\として、すべてが美しい。
よろこびか、かなしみか、よろこびともいへようし、かなしみともいへよう、しかし、私はそれ以上のもの[#「それ以上のもの」に傍点]を感じる。――
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□苦しみがなければ喜びもない、――これが人生の相場である、そして苦しみと喜びとの度合は正比例する、苦しみがはげしければはげしいほど、喜びもつよいのである。
苦しんで喜ぶか、はげしく苦しんでつよく喜ぶか、苦しまず喜ばず、無味に安んずるか、どちらでもよろしい(後者は実際がなか/\許さない)。
苦悩悲喜を超越したところが禅門の悟だ、煩悩具足の我々であるけれど、その煩悩に囚へられないやうになるのが仏道修行である。
□現象と表象[#「現象と表象」に傍点]。
事象(自然人生)を現象として実験し分析し研究するのは科学者、それを綜合的に表象として表現するのが芸術家だ、芸術は人を離れて、即ち作者を没しては意味をなさない。
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柿の葉[#「柿の葉」に白三角傍点]
私の句集をかう名づけてもよからうではないか、柿の実でもない、柿の木でもない
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