字下げ終わり]
十月二日[#「十月二日」に二重傍線] 曇――雨。
自己省察、身辺整理、清濁明暗、沈欝。
油買ひに行く(酒買ひにあらず)、路傍のコスモスが美しかつた、秋も日に日に深うなる。
……よくならうとすればするほどわるくなる[#「よくならうとすればするほどわるくなる」に傍点]、といふよりも、わるくなればなるほどよくならうとする[#「わるくなればなるほどよくならうとする」に傍点]、……真実なる矛盾である[#「真実なる矛盾である」に傍点]。……
しばらく畑仕事をしたら、草の実がくつついた。
今夜も不眠、やたらに読書した。
風が出て月は見えなかつた。
[#ここから1字下げ]
ウソとホントウ
ウソらしいウソ[#「ウソらしいウソ」に傍点]はよい、ウソらしいホントウもよい。
ホントウらしいウソはよくない。
私はホントウらしいホントウ[#「ホントウらしいホントウ」に傍点]をいひたい。
[#ここで字下げ終わり]
十月三日[#「十月三日」に二重傍線] 晴。
やうやく晴れた、今夜は月があるだらう。
野分らしく吹く。
観月会、――其中有楽。
原稿を書きつつ、自分の貧弱を痛感した。
郵便
前へ
次へ
全138ページ中46ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
種田 山頭火 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング