なければならない。
一時頃、樹明君来庵(鶏肉と酒とを持つて)、間もなくKさんも偶然来庵、鼎座して愉快に飲んだ、夕方、街まで送つて、帰途、米を買うて戻つて、炊いて食べて寝た、万歳!
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ゆうぜんとして飲み、とうぜんとして酔ふ、さういふ境涯を希ふ。
飲みでもしなければ一人ではゐられないし、飲めば出かけるし、出かけるとロクなことはない。
ひとりでしづかにおちついてゐることは出来ないのか、あはれな私ではある。
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 八月十八日[#「八月十八日」に二重傍線] めづらしく快晴。

朝寒、遠く蜩のうた、身辺整理、読書。
午後、街まで、徳利さげて!
夕方、Kさんが牛肉と酒と蚊取線香とを持つて来て飲まうといふ、飲む、食べる、歩く、唄ふ、そして帰る、Kさんは酔ふとなか/\片意地になる、SからMへまはつたゞけでやつと連れて戻つた、大出来/\、樹明君をよんだのに来なかつたのは残念/\。
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物事にこだはりさへしなければおもひわずらふことはない、放下着。
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 八月十九日[#「八月十九日」に二重傍線] 晴。

昨夜の今朝の私
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