に泊つた。

 七月廿四日[#「七月廿四日」に二重傍線] 五日[#「五日」に二重傍線] 六日[#「六日」に二重傍線]

何ともいへない三日間だつた、転々してゐるうちに明けたり暮れたりした。
病める樹明君を見舞ふことも出来なかつた、あゝすまない、すみません。

 七月廿七日[#「七月廿七日」に二重傍線] 晴。

暴風一過、けろりと凪いだ。……
身心すぐれない、罰だ、当然すぎる当然だ。
黎々火君来訪、ありがたかつた(心中恥づかしかつた)、おべんたうを貰つてうれしかつた。
身辺整理。
書かなければならない、しかし書きたくない手紙を二つ書いた。
夜は自責の念にせまられて眠れなかつた。

 七月廿八日[#「七月廿八日」に二重傍線] 曇。

元気なし、あたりまへだ、歯痛痔痛同時に起る、あたりまへだ。
身辺整理、整理、整理、整理。
虫の声がしめやかに。
孤独の不自然[#「孤独の不自然」に傍点]。
寝床があつて、米があつて、本があつて、そして酒があるならば。――
夜中に眼が覚めて、秋を感じた。

 七月廿九日[#「七月廿九日」に二重傍線] 晴。

ぐつすり寝たので、だいぶ身心こゝろよし。
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