するだけの値打ちはあると思つた、何しろ安いから、そして割合にうまいから、取扱が簡単だから、等、々、々。
今日、途上で、とても美しいお嬢さん[#「美しいお嬢さん」に傍点]を見た、さつそうとして洋装の長身がアスフアルトを踏んでゐる、そして同時に、とても醜い娘さん[#「醜い娘さん」に傍点]を見た、彼女は日傘で顔を隠して、追はれて逃げるやうに、隅の方を通る。……
私はあんぜんとして溜息をついた。
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・朝風そよげばひかるは青葉から青葉へ蜘蛛のいとなみ
・水をあびてはつるみとんぼの情熱
・晴れてけさはすつかり青田で
・萩がもう、ここに住みついて四年
・さみだるゝやわが体臭のたゞよふ
[#ここで字下げ終わり]
六月十六日[#「六月十六日」に二重傍線] 晴、風、雨。
風、風、風、風ほどいやなものはない。
夕方、樹明君来庵、すぐ帰宅。
風に敗けて飛びだした、手には念珠を握つてゐる、それをあづけてTさんから少し借りる、そして酔ひつぶれて、I館に泊る。……
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×
生家の跡[#「生家の跡」に白三角傍点]
――(十四日の夜)――
[#ここで字下げ終わ
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