々
・風がほどよく春めいた藪から藪へ
・春風のローラーがいつたりきたり
・伐り残されて芽ぶく木でたゝへた水へ
[#ここで字下げ終わり]
三月二日[#「三月二日」に二重傍線] 晴。
今夜は呂竹居に泊めて貰つた、なごやかな家庭の空気がいら/\してゐる私をやはらかくつつむ、ありがたい、まことにありがたい。
三月三日[#「三月三日」に二重傍線] 四日 五日 六日
寝てゐた、寝てゐるより外に仕方がない。
三月七日[#「三月七日」に二重傍線] 晴。
やつと起きあがつて、句集発送。
夜半の闖入者としてK君、I君襲来。
三月八日[#「三月八日」に二重傍線]
春が来たことをしみ/″\感じる。
身辺整理。
机を南縁から北窓へうつす、これも気分転換の一法である。
在るがままに在らしめ[#「在るがままに在らしめ」に傍点]、成るがままに成らしめる[#「成るがままに成らしめる」に傍点]、それが私の心境でなければならない。
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・山火事も春らしいけむりひろがる
・ぬくうてあるけば椿ぽたぽた
・草へ草が、いつとなく春になつて
[#ここで字下げ終わり]
三月九日[#「三月
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