る肉体
雪ふる処女の手がテーブルのうへに
咲いては落ちる椿の情熱をひらふ
雪あかりわれとわが死相をゑがく
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   ぐうたら手記
□飲みすぎ食べすぎもよくないが、饒舌りすぎはもつとよくない。
□本を読むは物を食べるに似たり。
□心の欲するところに従うてその矩を踰えず――生活の極致。
 過ぎたるは及ばざるに如かず――処世の妙諦。
 人事を尽して天命を俟つ――人間の真髄。
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 二月二十四日[#「二月二十四日」に二重傍線] 晴、うらゝか。

朝飯をよばれてから朝がへり。
敬坊はやつぱり来てゐない、また脱線かな、何しろ春がきたから、まだ若いから。……
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   ぐうたら手記
□アテにしないで待つ[#「アテにしないで待つ」に傍点]――これが私の生活信条とでもいふべきもの(友に与へる文句である)。
 来者不拒[#「来者不拒」に傍点]、去者不追[#「去者不追」に傍点]といつてもよからう。
□俳句することが[#「俳句することが」に傍点]、私に於ては[#「私に於ては」に傍点
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